外的実在と合意的実在を結び付ける物理学

20世紀の現代物理学の代名詞のようにされている、
相対性理論と量子力学はどちらも観測者をその中に含み、最も偉大な発見は、数学に関する部分ではなく、以下の表1にある、2つの実在(外的実在と合意的実在)の関係を理解するところにありました。
例えば、アインシュタインが1905年に特殊相対性理論を発見した際、鍵となる数学的関係は既にローレンツらによって発見されていました。
アインシュタインが偉大だったのは、数学とこれらの実在の観測事実との関係を明らかにした事でした。
つまり、「外的実在を数学的に記述する際、現れる長さや時間は、合意的実在として認識される長さや時間と異なっており、両者の差は相対速度に依存する。」
ということをアインシュタインは明らかにしました。
例えば、飛行機が高速で群衆の上を飛ぶ場合、群衆の合意的実在としては、飛行機の長さは離陸前より短く、機内の時計の進み方は、群衆のものより遅くなります。
量子力学では、ハイゼンベルクー小澤の不等式に従い、位置や運動量と言った物理量が観測によって不確定になることから、観測者の影響は無視できなくなります。 そして、外的実在と合意的実在を結びつけることの難しさは史上最高級になり、今なお論争が続いていますが、標準的な解釈で書いてみます。
外的実在は、ヒルベルト空間内の波動関数によって記述されるが、合意的実在としては、見かけ上ランダムにみえる位置や運動量の値が特定の値を取る確率を計算できます。(コペンハーゲン近似)
マルチバースの観点からは、確率解釈を基本原理から導出することが可能です。
外的実在 |
人間の観測と独立した物質の外的実在(物理的実在) |
合意的実在 | 意識を持つ観測者が合意し、共有するもの |